物件購入の際には、物件価格以外にも諸費用がかかります。この諸費用も考慮した上で、物件の予算を考えましょう。
諸費用の中でも多くを占めるのが住宅ローンを借りるためにかかる費用です。
住宅ローン借り入れにかかる諸費用
印紙税
住宅ローンの金銭消費貸借契約を締結する際に、かかります。1,000万円超5,000万円以下の借入額なら2万円です。
適合証明書
フラット35では、適合証明書の交付手数料が5万円程度かかります。(適合証明書は、検査機関によっても異なる)但し、新築マンションで適合証明書をマンション単位で取得した「フラット35登録マンション」や、住宅金融支援機構が定める基準に適合していることを確認した「中古マンションらくらくフラット35登録マンション」は、適合証明手続きを省略でき、この費用もかかりません。
住宅ローン事務手数料
・固定でかかるもの(32,400円~) ・割合でかかるもの(「融資額の2.16%」など) ※不動産業者の提携ローン利用時には、事務手数料が別途かかる場合もあります。
抵当権設定費用、司法書士報酬
住宅ローンを借りるには抵当権の設定登記が必要になり、その登録免許税は民間ローンでは借入金額をもとに計算されます。司法書士報酬も借入額によって異なってきます。
保証料・保証会社事務取扱手数料
連帯保証人に代わって保証会社に保証を依頼するために支払う保証料と、その保証事務手数料があります。ただし、一部の金融機関では、保証料なしという商品もあります。
団体信用生命保険料
借入者が死亡・高度障害状態になった際にローン残高が保険金で相殺される生命保険です。多くの住宅ローン商品の場合、保険料分を金利に含める、あるいは金融機関が負担して借入者の負担はありません。三大疾病保障つきの団信なども増え、その分だけ保険料負担が発生するタイプも増えています。
火災保険料
火災保険は強制加入となります。提携保険会社の場合、割引があります。同時に地震保険に加入することもできます。
これらの諸費用は、金融機関やローン内容によって異なるので、事前に確認しておくことが必要です。また、これらは原則自己資金の中から支払うものなので、物件の頭金以外に準備しておきましょう。
フラット35の特徴
項目 | 概 要 | 3,500万円の新築マンションを、某民間ローンで3,000万円借り入れて購入した場合 | |
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金銭消費貸借契約書印紙税 | 100万円超500万円以下 | 2,000円 | 2万円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | ||
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | ||
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | ||
適合証明書の交付手数料 | フラット35を申し込む場合の適合証明交付手数料。5万円程度(検査機関で異なる)。 | – | |
住宅ローン事務手数料 | 金融機関によって異なる。 | 3万2,400円 | |
抵当権設定登記の登録免許税 | 登録免許税は借入額の0.1%(2020年3月末まで、住宅用家屋の軽減税率) | 3万円 | |
司法書士報酬 | 借入額による。 | 8万円 | |
保証料、保証会社事務取扱手数料 | 保証会社に支払う。最近では保証料のかからないローンもある。 | 約62万円 | |
団体信用生命保険料 | 民間金融機関は強制加入が主流。保険料は金利に含まれている場合が多い。 | (金利に含まれる) | |
火災保険料 | 強制加入。民間金融機関の場合には提携保険会社で割引有り。同時に地震保険に加入することもできる。 | 約5万円(10年一括払い) | |
小計 | 約84万円 |
※ 上記表はあくまでも目安です。各算出額は諸条件で異なります。
フラット35の借入要件と特徴
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関との提携によって実現した、最長35年間の全期間固定金利型住宅ローンです。このフラット35を利用できる要件と、その特徴は次のようになっています。
STEP1 フラット35の借入要件
借入者本人に対する要件 | フラット35の借入者本人に対する要件は、民間の銀行ローンに比べると比較的緩やかになっています。 年齢:満70歳未満 最低勤続年数:細かい制限はなし 最低年収:安定した収入があること ※転職して間もない人や自営業で課税所得が低い人など、職業や年数に関係なく比較的利用しやすくなっています。 |
物件に対する要件 | 原則として「適合証明書」の交付を受けること ↓ 耐久性などについて住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合していることの証明 最近は、住宅性能表示制度を利用した新築住宅で、設計・中間現場検査の手続きを省略して、竣工現場検査・適合証明の申請手続きのみで 適合証明書の交付が可能な物件も増えています。手続きの簡素化も進んでいます。 |
フラット35登録マンション | フラット35の技術基準の適合証明書を取得する予定であらかじめ住宅金融支援機構に登録したマンション。 事業者から適合証明書(写)をもらえば、フラット35の手続きができる。 |
中古マンションらくらくフラット35 | 新築時に機構が定める維持管理基準と耐久性又は工事監理体制の基準に適合していることを確認した中古マンションが建築後20年間、 適合証明手続きを省略できる。 |
STEP2 フラット35の特徴
全期間固定金利であることが特徴です。金利は、取扱金融機関によって異なる点に注意が必要です。また、借入期間が20年以下のものは、21年以上の借入期間のものより低い金利となっています。一方で、融資率が9割超だと、金利は高くなります。
全期間固定金利型といっても、借り入れ当初10年間の金利を低めに、11年目からの金利が上がる2段階金利を扱うところもあり、返済の仕方に応じて選択肢も増えてきています。
【融資限度額】 100万円以上8,000万円以下で、建設費または購入価額の100%以内 。
【団体信用生命保険への加入】 原則として団体信用生命保険へ加入することになっていますが、団信に加入できなくとも借り入れは可能で、民間銀行ローンで健康状態が理由で借りられなかった人も利用することができます。
このようにフラット35は、物件に対する要件が厳しいものの、適合証明書がとれれば、比較的多くの人に利用しやすい商品で、全期間固定金利という安心感は非常に魅力的です。民間銀行ローンが利用しにくい人や、物件の耐震性などをじっくり吟味して選びたい人、そして将来の金利変動リスクを負いたくない人にとっては、フラット35の利用を検討することは資金計画のためにとても重要です。